地獄塗装アート宣言
最初はシュミで塗っていたのですが、褒められたので公開することにしたのです。
20センチくらいの怪獣ソフビ人形は、私が子供のころの60年代のは、いかにもオモチャ然として、恐怖感に欠けるつまらないものだったのですが、70年代以降のは人形の彫刻もかなりよくなってきていることに数年前、気がつきました。でも、その色は、チープでいい加減なモノが多く、元の怪獣とすごくイメージがちがう。そこで、自分で、リアルな感じに塗ってみることにしたのです。ソフビオモチャといへども、リアルに塗ればちがった感じになることが判りました。
そして、オモチャ化された怪獣は、無理にかわいくされているので、怪物本来の、イヤな感じに欠けていたことに気がついたのです。自分で塗装することで、元の、イヤな感じに戻していたのです。そして何年間かに渡って、怪獣をたくさん塗っていきました。
どんどんたくさん塗っていると、少し飽きてきます。戦車とかバケツとかを塗ってみたましたが、つまらない形なので今ひとつでした。そこで、怪獣に戻って、ただリアルに塗るのではなく、だんだん妄想に身をまかせるようにしたのです。
一方、現代美術は死んだ。
『誰もやったことのない』『新』という価値を求め続けた現代美術は終わりのない『新』ネタ合戦場と化して、血を吐き続ける苦しいマラソンの果てに死んだのだ。
長らく、『新』の陰に追いやられていた『技術』だけに着目すると、結局、美術は工芸だかなんだかわからなくなる。
もうどうしていいかわからなくなった中、とりあえず美術に残された価値基準は、『変』だ。
そして1970年代以降の怪獣のオモチャは、変だ。はでな形とはでな色。箱とかバケツよりたのしいかたち。意外と良くできた彫刻。
それが妄念をかき立てる。一度、変なふうにすると、次はさらにもっと変に。どんどん妄想が変になると塗装工程が増えます。そしてややこしい変なものになるのです。
これらを見た品田冬樹氏は、『こんなの並んでると地獄みたいだよ〜〜』と云ったので、地獄塗装としたのです。
●塗り方
リキテックスを筆で塗る。それだけ。筆しか使いません。塗膜が厚ければ充分保存に耐えます。
写真で分かるかどうか、全身パールとラメとクリアーを10回くらい掛けてギトギトのツルツル。
工程が多く、描き込みがめんどくさいので、量産がぜんぜんききません。すべて一品。
気分とそのときの妄想でぬっているので、同じ人形であっても、似たのになることもあれば、全くちがったりするのです。
以上2007年7月7日 記